(2024年7月29日作成)

結論

・一般融資貸付は基本的には決算書のみの審査であり、計画書は添え物であり、事業性評価は空論と解されます。
・創業融資は、創業融資申請者の自己資金及び斯業(しぎょう)経験並びにそれらをまとめた創業計画書のみで審査され、実績は不要という異質な融資です。
・したがって、創業融資においては創業融資申請者=斯業(しぎょう)経験者=自己資金所有者が原則であると解され、どれかが欠落すると厳しいと解されます。
・創業融資申請者=斯業(しぎょう)経験者=自己資金所有者は弊所の契約条件としても採用しております。

下記で詳細を記述します。

一般融資貸付と創業融資の違い

一般貸付融資と創業融資の審査基準の違い審査基準第1順位審査基準第2順位
一般貸付融資決算書(=業歴の情報を兼ねる=斯業経験を上回る情報)事業計画書
創業融資斯業経験(あくまで過去の経験)及び自己資金に基づく創業計画書無しと言って過言ではない

(表1)一般融資貸付けと創業融資の違い

上記の表を改めてまとめると下記となります。またまとめ方としては、

・経営実績、業績、決算書の数字という観点
・事業者の業歴という観点
〇個人事業主の場合
●当該個人事業主がオーナー兼経営に関与しているという通常想定されるケース
●当該個人事業主がオーナーだが、経営に関与しておらず雇われ店長がいるというケース
〇法人会社の場合
●当該法人会社の株主オーナー兼経営代表者という中小企業に多いケース
●当該法人会社の株主オーナーがおり、経営代表者は株を保有しない雇われ社長という法人形態ケース

からまとめます。

一般融資貸付

・経営実績、業績、決算書の数字という観点
一般融資貸付とは、みなさんが想像されるいわゆる銀行や信用金庫が行う、個人事業主や法人会社の決算書を見て融資の可否を判断する貸付となります。事業計画書や経営者の「これから私の事業はうまくいく」といった意見は「あくまで参考程度」となり、決算書の数字がすべてといって過言ではないでしょう。金融庁は事業性評価を推し進めようとしておりますが、現状は空論と解されます。

・事業者の業歴という観点
〇個人事業主の場合
●当該個人事業主がオーナー兼経営に関与しているという通常想定されるケースで、個人事業主が決算書を所有している場合は、つまり当該事業者が業歴を有していることになりますので、知識、経験などは有していることは当然であり、論点として意識することが少ないと解されます。
●当該個人事業主がオーナーだが、経営に関与しておらず雇われ店長がいるというケースは、当該個人事業主オーナーは経営の経験を積み上げていない、と考えることも可能ですが、現に当該事業がこれまで継続してきたという証拠=決算書があるため、そこが審査基準となります。

〇法人会社の場合
●当該法人会社の株主オーナー兼経営代表者という中小企業に多いケースは、当該法人会社の株主オーナーが代表経営者の場合で決算書を所有しているということは、つまり株主オーナー=代表経営者=当該法人が業歴を有していることになりますので、知識、経験などは有していることは当然であり、論点として意識することが少ないと解されます。
●当該法人会社の株主オーナーがおり、経営代表者は株を保有しない雇われ社長という法人形態ケースで、当該法人会社が一般融資の貸付けを申請する場合は、当該法人会社が現に当該事業がこれまで継続してきたという証拠=決算書があるため、そこが審査基準となります。なお、当該雇われ社長が最近変わったばかりの場合は当該法人会社の業歴と齟齬がでるではないか、という意見も存在しそうですが、これもまた当該法人会社が現に当該事業がこれまで継続してきたという証拠=決算書があるため、そこが審査基準となります

創業融資

・経営実績、業績、決算書の数字という観点
創業融資においては存在しないとなります。したがって、勤務時代の経験=斯業(しぎょう)経験が疑似的な経験として審査基準となります。

〇個人事業主の場合
●当該個人事業主がオーナー兼経営に関与するという創業計画のケース
こちらのページをご参考ください。当該ケースが創業融資の原則ケースと解されます。

創業融資申請者=斯業(しぎょう)経験者=自己資金所有者が原則であると解されます

●当該個人事業主がオーナーだが、経営に関与しておらず雇われ店長がおり、創業融資申請者は当該オーナーというケース
こちらのページをご参考ください。当該ケースは特例のケースと解されます。

創業融資申請者=斯業(しぎょう)経験者=自己資金所有者が原則であると解されます

〇法人会社の場合
●当該法人会社の株主オーナー兼経営代表者という創業計画のケース
こちらのページをご参考ください。当該ケースが創業融資の原則ケースと解されます。

創業融資申請者=斯業(しぎょう)経験者=自己資金所有者が原則であると解されます

●当該法人会社の株主オーナーがおり、経営代表者は株を保有しない雇われ社長という法人形態ケースで、当該法人会社が一般融資の貸付けを申請する場合は、特例のケースと解されます。

創業融資申請者=斯業(しぎょう)経験者=自己資金所有者が原則であると解されます

繰返しますが、創業融資においては創業融資申請者=斯業(しぎょう)経験者=自己資金所有者が原則であると解されます

こちらのページをご参考ください。

創業融資申請者=斯業(しぎょう)経験者=自己資金所有者が原則であると解されます

創業融資申請者=斯業(しぎょう)経験者=自己資金所有者は弊所の契約条件としても採用しております。

こちらのページをご参考ください。

弊所が「創業融資の成功可能性が高くかつ創業後の事業継続の可能性が高い」と判断した者に限定している理由及びその基準の算出根拠について

まとめ

決算書が存在しない創業、開業、起業者、にむけた融資商品が創業融資となります。