(2020年2月2日作成)(2024年6月4日再編集)

結論

・一見すると軌道に乗った後は自由に設定できるように見えます。
・しかし書籍によればあくまで「計画上」は半年で軌道に乗る計画としてほしいと日本政策金融公庫は望んでいるようです。
・日本政策金融公庫は、創業後軌道に乗るまで半年以上かかるというデータは保有しています。
・当該暗黙の了解のようなルールを知らずに作成すると不利ですのでご注意ください。

下記で詳細を記述します。

一見すると軌道に乗った後は自由に設定できるように見えます

(図1)事業の見通しの軌道に乗った後

事業の見通しの軌道に乗った後が空欄となっており、創業融資申請者が自由に記述できるように思われます。ここで下記のような迷いが生じると解されます。

・早く軌道に乗ると記述してアピールするべきか
・なるべく遅く軌道に乗ると記述して堅実かつ慎重な計画であるとアピールするべきか

とても悩むかもしれません。

しかし、書籍によれば答えは明確のようです。

書籍によればあくまで「計画上」は半年で軌道に乗る計画としてほしいと日本政策金融公庫は望んでいるようです

上野光夫「事業計画書は1枚にまとめなさい」(2019年第2刷)p205-p206の記述は下記となります。

金融機関の視点では、半年から一年以内に軌道に乗る見通しであればそれほど不安を感じません。しかし、「当初1~2年は赤字」という見込みだと、すんなり融資するわけにはいかなくなってしまいます。赤字期間の資金補てんができるかどうか検討する必要があるからです。つまり首尾よく審査をパスするためには、起業して半年~1年以内に「軌道に乗った後」になるのが望ましいわけです。また利益については「創業当初」が収支トントンから少し黒字で、「軌道に乗った後」は十分な利益がでる見通しになるのが理想です。実際に起業すると、当初2~3カ月は赤字で、軌道に乗せるまでに相応の期間を要することが少なくありません。でも審査をパスするためには、創業計画書に早期黒字化見込みを記入することが大切です。ただし、実現可能といえる根拠を示すことが大前提です。

日本政策金融公庫は、創業後軌道に乗るまで半年以上かかるというデータは保有しています

・日本政策金融公庫「新たに飲食業を始めるみなさまへ創業の手引+」p3における開業後軌道に乗り始めた時期(※日本政策金融公庫「生活衛生関係営業の景気動向等調査(2013年4~6月期)特別調査結果」再編・加工)によれば、約6割の企業が、軌道に乗せるために半年超かかっている、とありました。
・日本政策金融公庫「新たに美容業 を始めるみなさまへ創業の手引+」p2における開業後軌道に乗り始めた時期(※日本政策金融公庫「生活衛生関係営業の景気動向等調査(2013年4~6月期)特別調査結果」再編・加工)によれば、約7割の企業が軌道に乗せるまでに半年超かかっている、とありました。

つまり日本政策金融公庫は軌道に乗るまで半年を超えることは重々承知しているようです。しかしながら、上記に記述通り、あくまで計画上においては半年後に軌道に乗る計画で申請してほしい、ということです。

当該暗黙の了解のようなルールを知らずに作成すると不利ですのでご注意ください

当該暗黙の了解のようなルールは創業融資申請者にとっては理不尽に感じると思われます。弊所も同意いたします。その他の資料でエスコートがあってもよいと感じます。

創業融資作成後、そして融資面談の場で「軌道に乗るのが遅いのでは?」という指摘は、あまりに酷と感じます。

弊所の本ページを見ていただいたみなさまについては、ご理解いただけたと思いますので参考としてください。

まとめ

創業計画書における事業の見通しの軌道に乗る時期は、開業後半年でよろしくお願いいたします。