(2017年11月10日作成)(2024年5月28日再編集)

結論

・創業融資の申請先は、日本政策金融公庫の創業融資、自治体の制度融資、民間金融機関のプロパー融資の3種類と並列して説明されがちですが、実質的に日本政策金融公庫の創業融資一択であると言っても過言ではないと解されます。理由が複数存在します。
・日本政策金融公庫は創業融資にも関わらず、無担保無保証人が原則的な取り扱いとなっております。
・日本政策金融公庫の利率はとても低いので制度融資の利子補給は気にならないと解されます。
・日本政策金融公庫は、審査の関門が少なくそれに伴い申し込みをしてから融資金が出るまでの期間が短いです。
・日本政策金融公庫は、融資後に決算書を求められることも少ないです。
・日本政策金融公庫を申し込まずに他の申請先に申し込んだ時に、なぜ日本政策金融公庫を申し込まなかったのですかと問われた場合の回答が見つからない、と解されます。
・日本政策金融公庫の創業融資は有利過ぎて民業圧迫だという批判を受けて、民間金融機関との創業融資の協調融資が始まったと解されます。

下記で詳細を記述します。

日本政策金融公庫は創業融資にも関わらず、無担保無保証人が原則的な取り扱いとなっております。

こちらのページに記述しましたが、創業融資というのは特別かつ異例な融資と解されます。

経営実績が存在しない者に貸付けるという創業融資は特別かつ異例であるという認識をお願いします

しかし世の中にそううまい話は無いというのが常識と解されます。そうなると、創業融資は、担保が必要であったり、保証人が必要であったりするのではないかと勘繰ると思われます。しかしながら、「むしろ創業期を条件として」無担保無保証人の創業融資が申請可能となります。

・日本政策金融公庫のホームページより、創業融資のご案内、新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方は、原則として無担保・無保証人で各種融資制度をご利用いただけます。とあります。

反対に一般貸付の場合の記述は下記となります。

・一般貸付の概要、担保・保証人はお客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。とあります。

しかし、近年においては、日本政策金融公庫は一般貸付においても無担保無保証人となりつつある、という点については別ページで解説いたします。

自治体の制度融資は、都道府県自治体・信用保証協会・民間金融機関が連携して行う融資であり、信用保証協会に保証料を支払い保証人になってもらう必要があります。

民間の金融機関の創業融資についても募集要項としては「無担保無保証人」となっているケースも多いです。しかしながら、下記のページの通り、民間の創業融資は審査が厳しいと予想され、成功率は極めて低いと解されます。有担保、有保証人であれば融資します、など言われる可能性も高いと解されます。

経営実績が存在しない者に貸付けるという創業融資は特別かつ異例であるという認識をお願いします

以上より、無担保無保証人の観点から日本政策金融公庫が優位性を有していると解されます。

日本政策金融公庫の利率はとても低いので制度融資の利子補給は気にならないと解されます

日本政策金融公庫の創業融資の金利は2~3%と解されます。一方、民間金融機関の一般貸付けの金利は、借りる事業者の返済能力等のランク付けにより決定するため一概には言えないが金利は2~9%と言われています。つまり日本政策金融公庫の利率はとても低いと言ってよいと解されます。

金利3%で700万円を元金均等で7年間で返済した場合、支払金利は740,000円程度になると解されます。

ここで、自治体制度融資であれば「利子補給」により金利の支払額が補填される、という反論があると思われます。しかし、その他の日本政策金融公庫のメリットを照らせば、当該利子補給による得は軽微となり、むしろあまりケチケチするのはよくない、という意見が勝る可能性も高まります。利子補給のある制度融資は、創業融資の次の一般貸付で利用してもよいと解されます。

以上より、金利の観点から日本政策金融公庫が優位性を有していると解されます。

日本政策金融公庫は、審査の関門が少なくそれに伴い申し込みをしてから融資金が出るまでの期間が短いです

繰り返しますが、民間金融機関の創業融資は審査のハードルが高いです。次に、自治体の制度融資ですが、自治体・信用保証協会・民間金融機関という3者すべての審査を通過しなければならないことになり、それに伴い審査期間が長くなります。その点、日本政策金融公庫の創業融資は、審査機関は公庫のみで何とかして創業者の良いところを見つけて融資したいという姿勢で審査が行われますので、関門が少なく、審査期間が短くなります。起業、開業、創業、独立時の「時間は貴重」ですので、無駄なタイムロスを防ぐ意味で日本政策金融公庫の創業融資は優れていると解されます。

以上より、審査スピードの観点から日本政策金融公庫が優位性を有していると解されます。

日本政策金融公庫は、融資後に決算書を求められることも少ないです。

民間の金融機関は決算期を迎えるごとに必ず決算書の提出を求めます。自治体制度融資も民間金融機関から融資を受けるわけですので同様となります。一方で、日本政策金融公庫は、決算期ごとに決算書を求めることはない、と言われています。しかしながら、融資の返済が滞った場合には求められると思われます。ただ、融資後の無申告など許されるはずもありませんので、決算書を求められればすぐに提示できる状態であることは当然となります。

日本政策金融公庫の創業融資を第一順位に申し込まなかった理由を尋ねられた場合の回答が見つからない

上記を総合すると、日本政策金融公庫にまず初めに申し込まない理由が見つからない、ということになります。融資においては面談が存在します。もし仮に、民間金融機関の創業融資の面談時、または自治体制度融資を利用しての民間金融機関の面談時に、「日本政策金融公庫になぜはじめに創業融資を申請しなかったのですか?」と聞かれた場合に返答に困ると解されます。

日本政策金融公庫の創業融資は有利過ぎて民業圧迫だという批判を受けて、民間金融機関との創業融資の協調融資が始まったと解されます。

上記のように日本政策金融公庫は有利過ぎると思われ、民業圧迫だという批判がかつてから存在しておりました。それを解決するために民間金融機関との創業融資の協調融資が始まったと解されます。

・京都信用金庫、平成26年(2014年)5月から「公庫からはじまる」を取り扱い開始
・京都中央信用金庫、スタートダッシュ・ツインを取り扱い開始

まとめ

創業融資の申請先は、日本政策金融公庫の創業融資、自治体の制度融資、民間金融機関のプロパー融資の3種類と並列して説明されがちですが、実質的に日本政策金融公庫の創業融資一択であると言っても過言ではないと解されます。