(2020年1月6日作成)(2024年6月3日再編集)

結論

・親、兄弟、知人、友人等からの贈与、親、兄弟、知人、友人等からの借入、のいずれかであればどちらを日本政策公庫は望ましいか、については贈与のほうが望ましいとの日本政策金融公庫窓口の回答をいただきました。
・創業融資申請者の全財産を自己資金として創業計画書に記述し、親等から生活費の支援を受けることができる可能性については、月別収支計画書における計画した売上高を下回った場合の資金繰り・資金調達方法に記載する方法も理にかなっていると、日本政策金融公庫窓口の回答をいただきました。

下記で詳細を記述します。

贈与か借入かであれば贈与が望ましい

まず前提として、日本政策金融公庫としては、原則資料に記載された記載事項については検討しなければならないルールとなっており、補足資料については文字通り参考資料となると思われます。

そうすると創業計画書という原則的な資料において、8必要な資金と調達方法の欄に「親、兄弟、知人、友人等からの借入」と記述があればその真意や状況を聞取りして検討材料としなければならないことが発生します。ではそもそも親子間の借入、親子間の金銭の貸付けは曖昧になりがちと解されます。金銭貸借契約書は存在せず、口約束ということもあるでしょう。また、親の経済状況が急激に悪くなった場合に、すぐに返して、ということもあるかもしれません。そうなると不安材料になると解されます。

一方で、贈与の場合、これも「本当に贈与を受けたのか?」という疑義がという指摘はありえるものの、実際に創業融資申請者の通帳口座に入金されているのであれば、その事実は揺るがないこととなります。贈与契約書もあれば望ましいと解されますが、借入よりかは説明がクリアーと解されます。

実際に、贈与のほうが望ましいとの日本政策金融公庫窓口の回答をいただきました。

事業の資金支援ではなく生活費の支援資金であれば公庫は必要以上に検討しなくて良くなる

8必要な資金と調達方法の欄に「親、兄弟、知人、友人等からの借入」と記述が存在するケースは下記の2パターンが存在すると思われます。

・A、創業融資申請者の全財産が300万円であり、創業計画書の自己資金欄に300万円、親、兄弟、知人、友人等からの借入欄に200万と記述がある場合
・B、創業融資申請者の全財産が500万円であり、創業計画書の自己資金欄に300万円、生活費貯金として200万円は別途貯金し、親、兄弟、知人、友人等からの借入欄に200万と記述がある場合

まずAの場合ですが、Aの場合は親、兄弟、知人、友人等からの借入欄に200万と記述しなければ創業開業資金が足りないわけですからそうするしか方法はないと解されます。そうするとそもそも論としてカツカツのリスクのある計画であるという指摘を受ける恐れがあり、自己資金をもう一度貯め直すということもありえるかもしれません。

次にBですが、Bの場合は、創業融資申請者の全財産500万円を自己資金として創業計画書に記述し、親、兄弟、知人、友人等からの借入欄に0円と記述し、親等から生活費の支援を受けることができる可能性については、月別収支計画書における計画した売上高を下回った場合の資金繰り・資金調達方法に記載する方法が理にかなっていいると解されます。

上記の通り、日本政策金融公庫としては、原則資料という創業計画書に記載された記載事項については検討しなければならないルールとなっており、月別収支計画書という補足資料の、さらに補足情報については文字通り参考資料となると思われます。

検討される対象が減るという意味で良い方法と解されます。実際に、当該方法が望ましいとの日本政策金融公庫窓口の回答をいただきました。

まとめ

日本政策金融公庫の創業計画書における「親、兄弟、知人、友人等からの借入」の記述にはご注意ください。