(注)この記事は2019年12月現在の法律における弊所独自の見解であり、弊所が責任を保証するものではありません。
出張理容・出張美容(訪問理美容)に関する弊所独自の見解の表まとめ
出張訪問理美容についての法律解釈について | |||
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厚生労働省のホームページにおける出張利用・出張美容の定義 | 「理容所又は美容所以外の場所で理容又は美容の業務を行うこと=出張理容・出張美容」と定義づけられています。 | ||
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理容師法 第六条の二 | 理容師は、理容所以外において、その業をしてはならない。但し、政令で定めるところにより、特別の事情がある場合には、理容所以外の場所においてその業を行うことができる。 | ||
理容師法施行令 第四条 | 理容師が法第六条の二ただし書の規定により理容所以外の場所において業を行うことができる場合は、次のとおりとする。 一 疾病その他の理由により、理容所に来ることができない者に対して理容を行う場合 | ||
美容師法 第七条 | 美容師は、美容所以外の場所において、美容の業をしてはならない。ただし、政令で定める特別の事情がある場合には、この限りでない。 | ||
美容師法施行令 第四条 | 美容師が法第七条ただし書の規定により美容所以外の場所において業を行うことができる場合は、次のとおりとする。 一 疾病その他の理由により、美容所に来ることができない者に対して美容を行う場合 | ||
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平成28年3月24日厚生労働省発表 | 理容師法施行令第四条第一号及び美容師法施行令第四条第一号には次のような者が該当すると考えられること。 | ||
(1) | 疾病の状態にある場合のほか、骨折、認知症、障害、寝たきり等の要介護状態にある等の状態にある者であって、その状態の程度や生活環境に鑑み、社会通念上、理容所又は美容所に来ることが困難であると認められるもの | ||
(2) | 自宅等において、常時、家族である乳幼児の育児又は重度の要介護状態にある高齢者等の介護を行っている者であって、その他の家族の援助や行政等による育児又は介護サービスを利用することが困難であり、仮に、自宅等に育児又は介護を受けている家族を残して理容所又は美容所に行った場合には、当該家族の安全性を確保することが困難になると認められるもの | ||
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(1)を分解して解釈① | 理容所又は美容所に来ることが困難なほど要介護状態の疾病状態の方 | ||
(1)を分解して解釈② | 理容所又は美容所に来ることが困難なほど要介護状態の骨折状態の方 | ||
(1)を分解して解釈③ | 理容所又は美容所に来ることが困難なほど要介護状態の認知症の方 | ||
(1)を分解して解釈④ | 理容所又は美容所に来ることが困難なほど要介護状態の障害をお持ちの方 | ||
(1)を分解して解釈⑤ | 理容所又は美容所に来ることが困難なほど要介護状態の寝たきりの方 | ||
(2)を分解して解釈⑥ | 乳幼児の育児を行っている者 | ||
(2)を分解して解釈⑦ | 重度の要介護状態にある高齢者等の介護を行っている者 | ||
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出張理美容施術の可否の具体例(※弊所独自の見解) | 本人 | 行っている者 | 大津市Q&A |
要介護状態の疾病状態の方とその介護を行っている方のお家へ訪問 | ○ | ○ | |
要介護状態の骨折状態の方とその介護を行っている方のお家へ訪問 | ○ | ○ | ・片足骨折は✖ ・両足骨折は〇 ・両足骨折だが家族が送迎できる✖(Q&A3より) |
要介護状態の認知症の方とその介護を行っている方のお家へ訪問 | ○ | ○ | |
要介護状態の障害をお持ちの方とその介護を行っている方のお家へ訪問 | ○ | ○ | |
要介護状態の寝たきりの方とその介護を行っている方のお家へ訪問 | ○ | ○ | |
乳幼児と乳幼児の育児を行っている者 | ✕(乳幼児本人はそもそも該当しない) ・乳児=児童福祉法より1歳未満 ・幼児=児童福祉法より1歳~小学校就学前 | ○ | ・乳児は〇 ・幼児であっても発達に応じて判断 ・幼稚園へ登園している幼児は✖ (Q&A6より) |
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※弊所独自の見解 | |||
要介護者、その介助者がおられる家庭 | →一度に2名集客可能 | ||
乳幼児のお母さんがおられる家庭 | →一度に1名集客可能 | ||
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(2)の後半の文言 | その他の家族の援助や行政等による育児又は介護サービスを利用することが困難であり、仮に、自宅等に育児又は介護を受けている家族を残して理容所又は美容所に行った場合には、当該家族の安全性を確保することが困難になると認められるもの | ||
↓ | 大津市Q&A | ||
※弊所独自の見解 | 「行っている者」が理美容を受けるためには「他に助けを得られない場合に限る」と思われますが、おそらくこの状況を客観的に証明することはとても困難と思われます。 | ・例えば要介護の状態であっても心身の状態が安定しており、数時間であれば一人で過ごせるような場合は✖(Q&A10より) |
出張理容・出張美容(訪問理美容)とは
厚生労働省の定義
厚生労働省のホームページでは、「理容所又は美容所以外の場所で理容又は美容の業務を行うこと」を「出張理容・出張美容」と定義づけています。「訪問美容・訪問理容」は定義ではなくて「俗称・呼称」のようです。
理容師、美容師は所定の場所でしか髪を切ってはいけません
理容師は保健所から許可を得た理容所、美容師は保健所から許可を得た美容所でしか業として髪を切ることはできません。
ただしお客さんが「疾病その他の理由により」外出できない場合には理容所、美容所以外で髪を切ることができるとされています
この理容所、美容所以外の場所で業として他人の髪を切ることを「出張理容・出張美容」といいます。しかし「疾病その他の理由」の解釈について争いがあったと思われます。
平成28年に「疾病その他の理由により、理容所(美容所)に来ることができない者」が整理されました
平成28年(2016年)3月24日に出張理容・出張美容関係通知「理容師法施行令第4条第1号及び美容師法施行令第4条第1号に基づく出張理容・出張美容の対象について」が発表され、「疾病その他の理由により、理容所(美容所)に来ることができない者」に該当すると考えられるものについて整理されました。
(1)①疾病の状態にある場合のほか、②骨折、③認知症、④障害、⑤寝たきり等の要介護状態にある等の状態にある者であって、その状態の程度や生活環境に鑑み、社会通念上、理容所又は美容所に来ることが困難であると認められるもの
(2)自宅等において、常時、家族である⑥乳幼児の育児又は⑦重度の要介護状態にある高齢者等の介護を行っている者であって、その他の家族の援助や行政等による育児又は介護サービスを利用することが困難であり、仮に、自宅等に育児又は介護を受けている家族を残して理容所又は美容所に行った場合には、当該家族の安全性を確保することが困難になると認められるもの
「整理されてもなお不明点が多い」ですよね?大津市さんはさらにもう一歩踏み込んでホームページに出張理容・出張美容についてのQ&Aを掲載してくれています。
通知該当部分 | 問 | 答 | |
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1 | 1,柱書き | 「次のような者が該当すると考えられること」とあるが、今回の通知の対象に含まれない場合は、条例で定めない限り、出張理容・出張美容の対象にならないと理解してよいか。 | そのとおり。 |
2 | 1(1) | 「要介護状態にある等」の「等」は何を指すのか。 | 例えば、入所施設にいる場合などが考えられる。 |
3 | 1(1) | 「その状態の程度や生活環境に鑑み」とあるが、具体的にどのようなことを想定しているのか。例えば、片足骨折の状態であるが松葉杖を使用して歩くことができ、近距離のタクシーを利用して理容所・美容所に来ることができる場合や、両足骨折の状態であるが同居している家族が運転する自動車により理容所・美容所に来ることができる場合は、出張理容・出張美容は認められないのか。 | 「その状態の程度」とは、例えば、骨折の場合であれば骨折の程度のことであり、「生活環境」とは、例えば、家族等からの援助の得やすさや移動手段の確保のしやすさ等のことである。 出張理容・出張美容が認められるか否かについては、「その状態の程度」や「生活環境」を総合的に勘案し、個別具体的な事情に照らして判断されたい。 なお、一般的には、骨折の状態であっても、タクシー等により日常的に外出しており、その行動範囲の中に通常利用している理容所又は美容所がある場合は、理容所又は美容所に来ることが困難であるとは認められないと考えられる。 両足骨折の場合については、一般的には、自ら外出することは困難であり、仮に、家族の助けを借りたとしても理容所又は美容所に来ることは容易ではないと考えられることから、理容所又は美容所に来ることが困難であると考えられるが、同居している家族が運転する自動車により理容所・美容所に来ることができ、それが困難であるとは認められない場合には、出張理容・出張美容は認められない。 |
4 | 1(2) | 「自宅等」の「等」は何を指すのか。 | 自宅以外であっても、生活の本拠であると認められる場所を指すものである。 |
5 | 1(2) | 「家族である乳幼児の育児又は重度の要介護状態にある高齢者等の介護を行っている者」とあるが、この場合の「家族」とはどの範囲までをいうのか。 | 個別具体的な事情に照らして判断すべきものであるが、一般には乳幼児の育児や高齢者の介護を担っている同居の家族は該当する。 |
6 | 1(2) | 「乳幼児」とあるが、保育園や幼稚園の年 長児も含まれるのか。他方、小学生は含ま れないのか。 | 乳幼児は一般に保護者等による保護の必要性が高いと考えられるが、発達の個人差も大きいと考えられることから、保育園や幼稚園の年長児の場合、その発達状況に応じて判断することが必要である。ただし、幼稚園の就園児については、通常、登園中には理容所・美容所に来ることが可能と考えられる。 他方、小学生については、一般に常時保護者の監護下におく必要性はないと考えられるが、重度の障害を有する等により「重度の要介護状態にある高齢者等」に該当すると考えられる場合には、対象となり得る。 |
7 | 1(2) | 「重度の要介護状態」とあるが、これは介護保険制度における要介護状態のことを指すのか否か。また、「重度」とはどの程度のことをいうのか。 | 「要介護状態」とは、介護保険制度における認定を受けている場合に限定したものではない。また、「重度」については、「当該家族の安全性を確保することが困難になると認められる」かどうかも考慮して判断されるものである。 |
8 | 1(2) | 「高齢者等」の「等」は何を指すのか。 | 障害者等の常時介護が必要となる者が考えられる。 |
9 | 1(2) | 「その他の家族の援助や行政等による育児又は介護サービスを利用する」というのは、例えば、現状において訪問介護サービス等の契約を行っていないが、契約を締結すればサービスを利用できる状態にある場合も含むのか。 | 該当するかどうかは、「サービスを利用することが困難」と認められるどうかであり、訪問介護サービス等のサービスを利用することが困難と認められるかどうかについて、利用可能なサービスの有無や経済的な事情なども含め、個別具体的な事情に照らして判断されるべきものである。 |
10 | 1(2) | 「当該家族の安全性を確保することが困難」とは、具体的にはどういう状態を想定しているのか。 | 育児中の乳幼児又は介護を受けている高齢者等を一人で家に残した場合に、当該乳幼児・高齢者等の生命、身体の安全性を確保することが困難となるような場合を想定している。 したがって、例えば要介護の状態であっても心身の状態が安定しており、数時間であれば一人で過ごせるような場合は、これには当たらない。 |
11 | 1(2) | 「出張理容・出張美容に関する衛生管理要領」の第5の1で「作業室には、施術中の客及び介助者以外の者をみだりに出入りさせないこと」とされていることとの関係はどのように考えれば良いか。 | 本通知1(2)に該当するとして出張理容・出張美容を行う場合においても、衛生の確保という衛生管理要領の趣旨から、育児等の対象者が施術室に出入りすることは適切ではない。 ただし、施術環境として適切な衛生措置が講じられた上で、柵付きのベッド等により乳幼児自らが柵の外に出られない等の安全上の措置が講じられた場合は、この限りではない。 |
弊所の見解では要介護の方及び介護している方並びに乳幼児のお母さんなら出張で髪を切れます
・両足を骨折されてしまった方、その介護をしている方。
・腰を骨折してしまった方、その介護をしている方。
・重度のつわりの妊婦の方
2019年12月における中京区の保健所の見解(この見解について弊所が最終的な責任を負うわけではありません)
2019年12月に京都市中京区の医療衛星センター6階の窓口に訪問して質問して参りました。
医療衛生センター:京都市中京区御池通高倉西入高宮町200番地(生活衛生・食品衛生:6階)
「理美容室の新規開業届け出」や「その他法律問題の問合せ」は京都市はこちらの窓口に絞られているようでした。話を聞かせていただいた範囲で下記にまとめます。
・出張理容・出張美容(訪問理美容)が可能な対象者について現在明確な基準があるわけではない、というのが真実だそうです。
・「疾病その他の理由により、理容所(美容所)に来ることができない者」については聞き取りで判断するしか無いようです。
・「疾病その他の理由により、理容所(美容所)に来ることができない者」に該当するかどうかのチェックリストや契約書を作成したほうが良いかもしれません。
・しかし「疾病その他の理由により、理容所(美容所)に来ることができない者」に該当しないにも関わらず「該当する」とお客さんに言われて施術してしまったら、それは結局施術したほうの責任になる可能性が高いようです。
・ただもし仮に「施術可能者以外の方」に施術してしまったことが発覚したとしてもまずは保健所からの注意が入り、適切な対応をすればいきなり免許停止や業務停止などの罰則を受けることはまずないでしょう。しかし当然ですが違法と知りつつ注意も無視し続けることは許される行為ではありませんので決してしないようにしましょう。
※弊所独自の見解であり最終的な責任を負うものではありません。
出張訪問理美容ビジネスはマッチングが命
出張訪問理美容の集客方法
出張訪問理美容の集客数及び売上高予測並びに予測損益(乳幼児の母1名集客ビジネスモデル)
前提条件
・40歳主婦が個人事業主として出張訪問理美容師を開業
・配偶者は40歳夫会社員
・子は10歳
・稼働日は月間22日
・客単価は10,000円でヘアカラーパーマコースのみ
・外出できない乳幼児の母1名のみを集客
集客数及び売上高予測
集客数及び売上予測シュミレーション(出張訪問理美容)(乳幼児の母1名集客)
予測損益計算書
妻(40歳)出張美容師 | 夫(40歳)サラリーマン | 子(10歳) | 出張理美容室 | 乳幼児母1名集客 |
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1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | |
売上 | 1319000 | 2571700 | 3601250 | 4399225 |
仕入(売上×20%) | -263800 | -514340 | -720250 | -879845 |
初期費用 | -100000 | |||
社保扶養判定130万円以下 | 955200 | 2057360 | 2881000 | 3519380 |
スマホ携帯 8,000円×12ヶ月 | -96000 | -96000 | -96000 | -96000 |
HPサーバー代 | -7200 | -7200 | -7200 | -7200 |
HPドメイン代 | -2400 | -2400 | -2400 | -2400 |
タウンプラス広告 2,000枚×12ヶ月 70,000円×12ヶ月 | -840000 | -840000 | -840000 | -840000 |
個人賠償損害保険140円×12ヶ月 | -1680 | -1680 | -1680 | -1680 |
税理士報酬 ・5,500×12ヶ月 ・11,000×12ヶ月 | -66000 | -66000 | -66000 | -132000 |
利益 | -58080 | 1044080 | 1867720 | 2440100 |
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | |
利益 | -58080 | 1044080 | 1867720 | 2440100 |
青色申告55万控除 | 0 | -550000 | -550000 | -550000 |
電子申告10万控除 | 0 | -100000 | -100000 | -100000 |
事業所得 | -58080 | 394080 | 1217720 | 1790100 |
京都市国民健康保険 | 0 | -131931 | -252841 | -336867 |
国民年金/社保控除 | 0 | -200000 | -200000 | -200000 |
配偶者控除 | 0 | 0 | 0 | 0 |
基礎控除 | 0 | -480000 | -480000 | -480000 |
課税所得 | 0 | 0 | 0 | 393233 |
所得税 | 0 | 0 | 0 | -39400 |
住民税 | 0 | 0 | 0 | -84700 |
利益 | -58080 | 1044080 | 1867720 | 2440100 |
京都市国民健康保険 | 0 | -131931 | -252841 | -336867 |
国民年金/社保控除 | 0 | -200000 | -200000 | -200000 |
所得税 | 0 | 0 | 0 | -39400 |
住民税 | 0 | 0 | 0 | -84700 |
手元に残るお金 | -58080 | 712149 | 1414879 | 1779133 |
このビジネスモデルに対する弊所の見解
・配偶者夫会社員の社会保険の扶養から外れてしまうので社会保険料の自己負担がつらい。しかしこれは主婦が起業開業してしまうと逃れられない負担です。
・タウンプラス広告費84万円が4年目まではつらい。しかし5年目以降はSNS、HP、リピーター集客のみで持続可能だろうからタウンプラスは0円になりそうです。
・この前提条件だと、年間予約限度数528×客単価10,000=528万円が売上高の上限額となります。
出張訪問理美容の集客数及び売上高予測(要介護の方及び介護している方同時2名集客ビジネスモデル)
出張理容・出張美容(訪問理美容)は0円起業です!
せっかく理容師資格、美容師資格を保有されておられるにも関わらず現在は理容師免許、美容師免許を眠らせてしまっている元理容師さん、元美容師さん、出張理容・出張美容(訪問理美容)で開業してみませんか?